政策調査部情報 15号 04.8.20

■内容 美浜原発事故に伴う泊原発の安全管理強化を求める要請行動(北海道)
 
美浜原発事故に伴う泊原発の安全管理強化を北海道に申し入れ
 
 本日(8月20日)連合北海道(要請団:佐藤富夫副事務局長他)は、美浜原発事故に関連し、北海道に泊原子力発電所の安全対策に向けた指導強化を要請した。対応した吉澤副知事から以下のように文書回答を受けた。
 
(要請事項に対する北海道の回答)
 

1.関西電力・美浜原子力発電所3号機事故について、どのような見解を持っているの か。また、事故後、泊原発1・2号機を抱える北海道電力にどのように対応されたの か明らかにすること。 
 
(回答)
今回の事故は、原子炉運転中に4名の死者が発生した我が国で初めての事故であること、また、何よりも安全性の確保に万全を期さなければならない原子力発電所における事故であることなど、大変残念であると考えております。
 道としては今回の事故に当たって、泊発電所1・2号機が同じ型式の加圧水型であることから、北海道電力に対して、事故に関する情報の収集に努めるとともに、泊発電所のより一層の安全確保に努めるよう、申し入れを行っております。
 

2.美浜原子力発電所3号機と同じ加圧水型軽水炉である泊原子力発電所1・2 号機 における2次冷却水の配管の検査やこれまでの検査結果含めて安全管理システム について把握している点を明らかにすること。 
 
(回答)
 北海道電力では、自ら定めた「原子力設備2次系配管肉厚の管理指針(PWR)」の中で点検対象や点検頻度などを定めて検査を実施し、この結果に基づき、必要な箇所については、耐食性材料等に取り替えることとしています。
 なお、今回の事故発生箇所と同じ部位については、これまでの点検で減肉が認められたことから、管理指針に基づいて減肉の発生しにくいステンレス製の配管に既に、取替え済みであると聞いております。
 また、今回の事故を受けて、国(経済産業省原子力安全・保安院)では、原子力発電所を所有する電気事業者に対して、2次系配管などの肉厚の管理が行われているか確認するよう緊急的な指示をしており、この指示に基づく北電の調査結果によると、泊1,2号機に関し、減肉の可能性のある箇所は適切に管理されているものと承知をしております。
 
 

3.美浜原子力発電所3号機での2次冷却水の配管破裂による蒸気噴出という想定外 の事故の発生を受けて、泊原子力発電所1・2号機のタービン建屋内における作業 員の安全確保について検討すべき課題について明らかにすること。
 
(回答)
 原子力発電所をはじめ、あらゆる事業場内における労働者の安全と健康の確保等については、労働安全衛生法等に基づき、事業者がその責務において、労働者の危険又は健康障害を防止するための必要な措置を講ずることとなってお ります。
 このため、事業者は、労働安全衛生法第88条に規定する計画を労働基準監督署長に届け出ることや、同法第59条による人的な災害要因を除去するための安全衛生教育を行うことが義務付けられており、北電泊原子力発電所においても、これまでも、その都度、届出を行うとともに、安全衛生教育も実施し、作業員の安全確保を最優先に取り組んできていると伺っております。
 道としては、道民の健康と安全を守る立場から、労働安全衛生法上の指導監 督権限を有している北海道労働局と十分に連携し、労働関係法令等が遵守されますよう適切に対応してまいりたいと考えております。
 

4.今後における泊原子力発電所1・2号機の安全管理システムの強化・確立、徹底に 向けて検討されていることについて明らかにすること。
 
(回答)
 原子力発電は何よりも安全性の確保に万全を期さなければならず、国の規制責任、事業者の保安責任が十分に果たされることが何よりも重要であります。
 このため、道としては、これまでも事業者の安全管理や品質保証活動などが充実・強化されるよう、国の積極的な指導について申し入れてきたところであり、今後とも、原子力発電所などを有する関係14道県で構成する原子力発電関係団体協議会などをとおして、原子力発電所等の安全確保について、国に要望してまいりたいと考えております。
 
 
●回答に対する連合の指摘
 
1.労働災害・安全衛生管理
 泊発電所の2次系配管があるタービン建家は一般見学者も入る。事故が起こりうる場所として様々な対策が必要ではないか。また、万が一に備え、配管設備・作業体制の改善など、そこで働く労働者の安全対策を確立する必要がある。道として、労働安全衛生強化策を指導されたい。
2.情報公開の改善
 北電が「2次系配管についての管理指針」に基づき実施する検査結果は、情報公開の対象になっていない。「管理指針」に基づく検査結果の中でも、配管の減肉に係わる結果は情報公開の対象とするよう事業者を指導されたい。
3.原発の安全対策を強化するため、国に原子力「推進行政」と「規制行政」の分離を求められたい。
以上